人の人生に関わる仕事をしています。関わらない仕事は少ないのかもしれませんが、成年後見制度の仕事は、相談を受けていて、いろいろな人生に触れているとの思いがあらためてしてきます。

その人の人生のどれほどを理解できるかわからないけれど、福祉にたずさわる者として、人の人生にむきあう姿勢は謙虚でなくてはいけないと思っています。

それは、あれこれと自分なりに悩むということなのでしょうけれど、急いで決めなければならないときもあって。。。

ああ、ちょっと今自分でこなしきれていなくて、しんどいなと思いかけたときに、以前に、娘が父の日に買ってくれた「新古今和歌集」を開きます。すこし、時空を超えた人たちの恋の歌などを読むと気分転換になります。

小学館版のこの本は、歌を中段におき、上段は注釈、下段は現代語訳となっていて、とてもいいです(峯村文人校注・訳)。

なお、ページを開いたところのパラパラ読みで、ふーん、で終わっていますので歌を鑑賞しているレベルでもなく、その場かぎりの定着しない浅い読み方ですので、この話題で話しかけないでくださいね(^_^;)

注釈によれば、新古今和歌集全20巻中5巻は「恋歌」となっていて、古今集にならって「恋歌一」から「恋歌五」まで、恋愛の段階にそって並べられているそうです。「恋歌一」は人を恋し始めた頃、「恋歌二」は秘めた思いの苦しさ、「恋歌三」は恋人とちぎりを結んだころ、「恋歌四」は忘れられていく身を嘆くなど恋の終焉にむかう、「恋歌五」は、・・・「逢うことが別れにつながる恋の嘆きの歌を巻頭に据えて、恋のはかなさをかみしめる内省的な抒情を主調とする」とのこと。

きょう、パラっと開いたところは「恋歌四」。峯村先生の訳をたよりにどんな歌か書きますと、

男がちょっとムッとすることがあって、もうきょうを最後に逢いに来ないと言い捨てて帰ってきて2日後に女に送った歌

別れてからまだ昨日、今日と二日しか経たないのに、もう千年も経ているような気持ちばかりする

女は、これに返歌して

わたしは、昨日のこととも今日のことともわかりません。あなたが今日が最後とおっしゃって別れてからは、こころが乱れて。

昨日、今日と数えられるのは悲しみが浅い証拠、じぶんは、昨日とも今日とも分からないほどこころが乱れています、・・・ということだそうです。

昨日のこととも、今日のこととも分からなくなるほど、思い悩まないと・・・ということになるのか。