『こんな夜更けにバナナかよ』の筆者の最新刊。九州への長旅に持っていきました。

重い障害のある人といっしょに過ごした経験のある人の文章であり、軽くはないけれど読みやすいです。

やまゆり園障害者殺傷事件の検討などを通じて、「なぜ人と人は支え合うのか」という問いに向き合っていて、著者の文章をたどりながら、自分の思いを確認することができました。

私は、「障害」を「障がい」と書くことはしません。社会モデルの考え方と「障がい」はあまりなじまないように考えるからです。

この「障害」の表記の問題も、第4章でていねいに書かれています。民主党政権時の「障がい者制度改革推進会議」での議論についても、詳しく書いてあります。私も当時の資料をインターネットでひらって、興味深く読みました。いま、インターネットで検索してでてくるかどうかわからないが、文化庁の主任国語調査官の参考意見が素晴らしいと思いました。障害、障碍その他の言葉の歴史的な推移も丁寧にフォローしながら(たとえば、障碍は、平安末期以降は、しょうげと読み、もののけ、という意味だったとか)、結局は、国民が決めることだという結論だったと記憶しています。

この「障害」の表記の問題についても、自身が障害ということをどう捉えるかを考えるいい機会であると思います。

私は、「障害」についての思いを語れるほどの見識はないのですが、仕事の上でも、ボランティアでも障害のある人との関わりがあった方かなと思っています。これを機会に、「なぜ人と人は支え合うのか」という問いに、私も自分なりの整理をしたいと思いました。

この筆者の答えには共感するところも多いのですが、きっと福祉の先輩にこの問いを尋ねたとして、答えはいろいろだろうと思っています。

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