年に1度、県庁時代の先輩から頼まれて、日本福祉大学で1コマお話しする機会があります。
その1コマの中でお勧めしているのは、「ビデオ学習」です。

テレビ番組を録画して、CM部分をカットしたり1.5倍速で再生したりすると、1時間番組を45分ぐらいで観ることができます。
そのときは、観ようと思わなくても、本の積ん読と同じで、置いておくとふと自分の関心が近寄ってきて、観たいと思うときがきます。

NHK番組が多いですが、お勧めは、「こころの時代〜宗教・人生」(Eテレ)、「バリバラ」(Eテレ)、「プロフェッショナル〜仕事の流儀」(NHK)、「ろうを生きる 難聴を生きる」(Eテレ)などです。
こうした番組を録画しておいて、時間があるときなど、気が向いたときに観るのです。

きのう、3月7日に放送された「こころの時代〜宗教・人生」を観ました。
「心のケアから品格ある社会へ」というタイトルで、阪神・淡路大震災後の神戸で心のケアのパイオニアとして奮闘した精神科医・安克昌さんを描いた番組です。
「在日という出自に向き合いながら精神科医として人生を切り開き、39歳の若さで亡くなるまで、被災者や多重人格の患者、人の心の傷に寄り添い続けた。ジャズと家族をこよなく愛する素顔、怒りをもって日本社会を見つめる視線、人間的な魅力にあふれる安克昌さんの生き様を関係者の証言、ドラマで安先生を演じた柄本佑さんの朗読で描く。」と番組のホームページにあります。

1月から2月にかけて4回のドラマは、神戸の震災と言うことでこころ苦しくて見ることができませんでした。

「心のケアを最大限に拡張すればそれは住民が尊重される社会を作ることになるのではないか。それは社会の「品格」にかかわる問題だと私は思った」とあります。

この文章について、番組の中で、弟さんがインタビューで、「これは、怒っているなと思いました」、いま、まさに困っている人たちの前で、動かない人たちに対して、言葉を選んで、「品格」に関わるといったのだとおっしゃっていました。

在日として生きて、コミュニティの重さも感じておられたのだと思います。
一人ひとりの住民が尊重される社会をつくらなければならない、その言葉を大切にしたいと思います。

そのときの自分には、あわなくても、時間が経ったときに、巡り会うこともあります。
書籍を積んでおき、番組を積んでおき、たまに見返して、出会う、その出会いをありがたいと思います。