なにをどう仕事をしたのかわからないほど、あっという間に4月からの2か月が過ぎ、街角にはあじさいの花を見かけるようになりました。

ひさしく図書館にも行っていませんでしたが、先日、用事ができて久しぶりに図書館に行きました。
法人で受任している保佐人さんの関係で令和3年の所得の申告をする必要があって岐阜県内にある税務署に行きました。
そこで、2年前に被保佐人がした税の申告書類の開示請求をしたいと相談したところ、個人情報保護法第76条第2項により開示できないという回答がありました。

(開示請求権)
第七十六条 何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長等に対し、当該行政機関の長等の属する行政機関等の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。
2 未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は本人の委任による代理人(以下この節において「代理人」と総称する。)は、本人に代わって前項の規定による開示の請求(以下この節及び第百二十五条において「開示請求」という。)をすることができる。

法文上「成年被後見人の法定代理人」とあるので、保佐人である私たちには開示請求権がない、ということでした。

話は長くなりましたが、保佐人が全く情報開示の請求ができないようでは困る、ということになるので、被保佐人の法定代理人が開示請求できる解釈がないか、条文の主旨を確認したくて、個人情報保護法のコンメンタール(逐条解説)を求めて、市立図書館に金曜日の夕方に行ってきたのです。

『個人情報保護法の逐条解説』(宇賀克也著、2013)は、改正前の古い本ですが、ヒントがありました。

たとえば, 成年で認知症になっていても成年後見制度を利用していない場合は稀でなく、本人が意思能力を喪失して開示請求ができない場合,本人に代わって開示請求をすることができる者がいないことになってしまう。 かかる場合,本人の家族等,本人の世話をしている者が本人の利益のために開示請求していることが明らかな場合には、開示請求への対応というかたちをとらず, 情報提供により対応することを検討すべきであるが,その場合, 個人情報保護条例で,本人の同意なしに個人情報を第三者提供することを許容する例外規定に該当するかが吟味されなければならない。(p.272)

法令上、「成年被後見人の法定代理人」に限った理由は書いてありませんでしたが、開示請求によらず、「情報提供」の相談の余地があることがわかりました。
そういえば、市役所で働いていた頃、情報公開請求によらず、「情報提供」をするということもしていたなぁと思い出しました。

当該の税務署の担当の方にはいろいろと時間をかけて御指導いただき、ありがとうございました。